室町時代の日本では、13歳になる男士は成人扱いとなりました。その証に授けられたのが日本刀でした。この成人の儀式を、「刀指(かたなざし)の祝い」と呼んでいたそうです。現代の感覚でいうと13歳というのはまだ幼いような印象を受けますが、当時は平均寿命が15歳とも言われていました。
医療があまり発達しておらず、さらに15歳程度で結婚しても生まれた子供の生存率も低かったのです。この刀指の祝いで刀を持つようになったとたんに、目を見張るほどに男らしくなったと言われています。これは、共同体を守り、共同体の一員しての意識を持ったとも考えられます。
日本刀は、日本男子の成人の証というのは当然ですが、肌身離さず持ち歩く日用品であり、衣装でもあると言えるでしょう。日本刀は、日本人にとって大きな意味を持っていたのです。